うつわのこと

器づくりの思い

ロクロの風景

うつわとは何か、と考える。
うつわとは受け入れ、受け止めるもの。

水を、花を、料理を。
受け止めるためのカタチ、受け止めるための用途。
それが一番最初にあって、そこから私はそのための土、そのための色、そのための古色、そのための絵、と選んでいる。

私の作るうつわは完全なる脇役。
主役はうつわを使う人。

使う人の生活を豊かにするために、使う人の時間や空間を演出するための道具。
その空間にあっても邪魔をしないように、「あれ、いつからあったっけ」と思われるぐらい溶けこんでほしい。

そんなうつわを、と願いながら作陶しています。


作りたい器

ロクロ前に磁器土を叩いて形を整える

私の目指しているのは「隙のあるうつわ」

例えば、和に近いけど完全に和ではなく、洋の要素も入った限りなく和に近いもの。

シルクロードから完璧で美しい器が中国やベトナムに渡って、そこの人たちが
それを再現しようとして最初に作った、拙いけど、生命力に溢れたもの。

それらが中国から日本に入って、伊万里の陶工たちが作った、初期伊万里の自由奔放で伸びやかな筆遣い。
「くらわんか」の作為の無い絵付け。

そんなものが作りたい、と願い続けています。

そういうものはどこか隙があって、包容力もあって、他のうつわと同じ食卓に並べても
違和感なく溶け込むのではないか。
自分が好きなものしか作れないし、楽しく作ったものにこそ魅力が宿ると思っていて、

好きなものというのは、隙のあるもの

他のうつわと調和するもの

料理と調和するもの

そういうものが作れるよう、続けていきたいと思います。


ロクロ。お皿の高台を削る*

ごあいさつ



灰釉小瓶にバラ

ものを作るのが好きで、土でカタチを作ることにあこがれてこの仕事をはじめました。

そして磁器や土もの”やきもの”の持つ魅力にとりつかれ、日々良いものを目指し探求の毎日です。

暮らしに寄り添い、溶け込み、空気のような「うつわ」。


ただ毎日「うつわ」を作っていきたい。


料理を盛りつけた時に一番美しく見えるように、
毎日使っていても飽きがこない、シンプルで使い易いうつわ作りをこころがけています。





略歴

1984 愛知県常滑市生まれ
2003 愛知県立常滑高等学校セラミック科卒
2005 愛知県立瀬戸窯業高等学校陶芸専攻科修了
    陶芸家藤塚光男氏に師事
    四年間修行
2009 京都鳴滝にて開窯
2010 比叡山坂本に築窯
現在滋賀県大津市比叡山坂本にて作陶中